舞台作曲のお仕事の進め方。

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現在は2本の舞台、アイドルの楽曲、企業案件を掛け持ちつつやっています。そんな中思うのはやっぱり作るってエネルギーを使う作業ってことです。

<作る=生み出す>

曲を作るのは、どうやっても生み出す作業です。

工程を考えてみたのですが、いろいろ例外がありますが今回は舞台の脚本に焦点を当てていきます。

1.曲を作る対象(作品、映像、絵コンテなど)の落とし込み

2.クライアント(演出)とのすり合わせ

3.方向性の決定

4.作業(作曲、編曲)

5.今後の改善点などを見つける

1.曲を作る対象(作品、映像、絵コンテなど)の落とし込み

 

まずはその音楽が必要とされるコンテンツを落とし込みします。

落とし込み方法は物によって違いますが、脚本で言えば本を読み、そこから全体の方向性を見据えていきます。

<大きなモーメント、小さなモーメントを見定める>

例えば大きなモーメントでわかりやすいのはバトルシーン。殺陣や戦闘シーンが多いものは戦闘曲が割合多くなりますから、リズムの立った、スケール感の大きなものが求められる傾向です。

舞台は曲数が多いので、バトルシーンでも最も重要なシーンに、一番かっこいいものを持っていきたいですね。

小さなモーメント、というのは色々ありますが、芝居で見せ所になるであろうシーンです。大切な友人との別れや、恋が実るシーンなど、物語として大きな転換であることが多いのです。ではなぜ小さなモーメントか。

そういったシーンって、言葉のやり取りでしっかりとドラマを見せることが多いんですよね。そういったシーンはお客さんも芝居に集中しますから、音楽としての情報がそこまで必要でない≒音楽としては小曲のような、シンプルな楽器編成になるlことが多い為、小さなシーンと捉えています。

大なり小なりを見定めつつ、全体の流れを構築していく。そこに演出の意図を汲み取る作業も加えて落とし込みをしていきます。

2.クライアント(演出)とのすり合わせ

脚本の大まかな流れ、必要そうな音楽を見定めたら、演出家と打ち合わせをして、意見のすり合わせをしていきます。

・どんな進め方の演出家か

曲の必要そうな場所のすり合わせに関しては、演出家によって様々です。

最初から最後まで曲の必要な場所、曲調などを一覧にしてまとめてくれる演出家もいますし、こちらが提案したものをかなり活用してくれる演出家もいます。

やり方が十人十色なので、傾向を掴むためにもコミュニケーションは重要になります。

・演出家の好みの音楽性は?

また打ち合わせやコミュニケーションの際に、演出家の音楽の好みも把握していきます。

ワンオクロックが好きな演出家と聞けば、クールなギターリフ、疾走感のあるエッジの効いたドラムスのように、好きなアーティストからどんな楽器編成にしていくか、全体の音楽の統一感などの参考にしていきます。

3.方向性の決定

ここまで進めた段階で、大体方向性などが見えてきます。ここまでが頭の中での構築になり、いよいよ作業に移ります。方向性と言ってもざっくりで、使っていく楽器の編成であったり、音楽に流れる全体の雰囲気を頭の中で膨らませます。

4.作業

ここから作曲作業に入ります。曲によっての優先順位が大抵ありますので、優先度の高いものから進めていきます。優先度は、役者が歌うもの、振り付けの入るダンスナ

ンバーなど高いことが多いです。なぜなら稽古を進める中で早い段階に必要になることが多いからです。

・スピード感のある仕事が重要

経験則ですが、舞台全編の曲となると曲数も多いです。少なくて20曲弱、30曲もザラ、僕が経験して多かった現場は50曲以上などもあります。しかも50曲の現場は生演奏だったため、楽譜の作成、リハーサルなども工程に組み込まれていきますので、非常に大変です。

僕は、歌ものはアレンジまで完成させるのに1日~2日、BGMは5~10曲/1日のペースで書いてしまいます。修正はある程度まとまった後に対応することが多いです。

・近年の稽古期間の短期化

どうしてこうも早くなったかというと、近年の商業舞台の稽古期間が短い傾向になっているからです。集客をするために売れている俳優をキャスティングする。そうするとスケジュールを抑えるのも難しい、結果稽古が短くなっているわけです。

・悩む時間をどう減らすか

曲を作っているとどうしても悩んでしまいがちです。そうすると手が止まってしまう。そこをどう対応していくかが重要です。

1日に5~10曲を作るわけですから、1曲2時間もかけていられません。ですが根を詰めすぎても良くない。

・こまめな息抜きと、目標設定

まず朝、その日のタスクを書き出します。そしてそれを順番にこなしていき、出来上がると線を引いていく。すごくシンプルですが、小さな目標が多い方がクリアしていきやすいのです。

それと息抜き。これが案外重要で、コーヒーをドリップしたり、ストレッチをしたり、動画を見たり。。一見集中できていないようでも、まめに息抜きを入れることで、トータルでの作業効率が上がるんです。人間の集中力はたかが知れていますから。

トータルで考えた時、例えば10時間の仕事を終わらせる方法を考えた時に2時間は休憩や息抜きに使った、そうすると残り8時間で終わらせる必要がある。そのちょっとした小さな追い込みの積み重ねが、より効率よく、早く仕事を終わらせる秘訣かもしれません。

5.今後の改善点などを見つける

曲も納品し、無事本番が終われば仕事完了です。

一番勉強になるのはやはり本番です。会場での音の鳴り具合からミックスなどの改善点が見つかりますし、全編通して観た時に意図していた音楽の流れができているか、また演出が楽曲をどう使ってくれているか。そこで改善点を持ち、次の現場へ臨む。

まとめに

短期間で数を作り、クライアントの要望を受けながらも思うのは、最後は自分のいいと思ったことをやるしかないということです。

作りたくない曲や、苦手なジャンルの曲だったとしても、自分ならどう作るか、そう考えると、どんどんと引き出しが増えていく。でも休むときは休む。

自己管理も仕事のうちなので、体や心の波と上手に付き合っていくことがとても大切かと思います。

いろんな音を使ってみて、いろんな音楽を作ってみる。それが結果自分の音楽を広げてくれると感じています。

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